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  沢山池の里山で見られる生態系等に被害を及ぼすおそれのある植物について
 
 環境省の重点対策外来種リストより調べてみると。早急な対策が必要な順に、重点対策外来種に指定され、花粉症の原因とされるオオブタクサ、在来種の生長・発芽を抑制する物質「アレロパシー」をもつセイタカアワダチソウ、外来種のアメリイヌホウズキ、小川にオオカワヂシャなどが里山に入り込んできました。オオカワヂシャは、在来線のカワヂシャと交雑してホナガカワヂシャという雑種を生み、カワヂシャを絶滅危惧種に追いやってしまいました。

 8年前、沢山池は、自然のまま放置された環境が残り、湿地に生えるヨシやオギ、川の周りのオギやメダケ、林の中のアズマネザサに覆われていました。次第に田んぼが復田され、あぜや林の中も定期的に草刈りがいきとどき、里山の風景がよみがえってきました。きれいに里山が整備されてきましたが、これまで占有していた植物がなくなると一斉に植物は競い合って仲間を増やそうとします。環境に適応力の強い外来種(セイタカアワダチソウやオオブタクサなど)が他を押さえて増えてきました。セイタカアワダチソウは、刈られても根が残り、根を四方に伸ばして根の先から若芽を出し群落をつくります。全部抜いて駆除した直後は、他の植物が消えてしまったように数が減っています。そこに、今度はオオブタクサが入り込んできました。オオブタクサの種子は何年も土の中に眠っていた種です。土を掘り返したところに真っ先に発芽してきました。他の在来種より生長がはやく刈り取ってもわき芽が出て伸びていきます。
 
 2020年度、樹林地を覆う植物が目立ってきました。春にニリンソウが一面に咲いていた湿地にイヌホウズキが生え、夏に近づくにつれて腰の高さまで伸びてきて、通ることもできないくらいに樹林地全体に広がってしまいました。イヌホウズキより背が高く、後で、北アメリカ原産のアメリカイヌホオズキであることが分かりました。ニリンソウの湿地は、種子ができる前に鎌で刈り取ることができましたが、大部分は翌年まで残ってしまいました。1年草ですが、枯れても他の植物に覆い被さり日を遮り、他の植物が発芽できないようにしているこの植物に驚きます。刈払機で刈り取る作業を続けていますが、根元の木質化が進み思うように刈り取りができないことも問題を大きくしています。今年は、早めに下の植物を残しながら1~10cmぐらいに刈り取る作業を行っていきたいです。2022年、ニリンソウの後の湿地にカラムシがふえてきて占有し始めました。カラムシは昔綿花が入ってくる前から麻布を作る材料として使われてきた在来線の植物です。湿地や臨床の草を仮払いすると環境が撹乱され適応力の強い植物が占有してきます。部分的に残しながら占有している植物を刈り取って、勢いを抑制していく必要があります。

 外来種のコセンダングサも湿地の栄養豊富な土壌で生長が著しく、秋になると多量のくっつき虫と呼ばれている種子をつくりやっかいな植物です。夏に刈り取っても根元から伸びてきます。枯れても木質化した太い茎は刈払機での作業が思うように進みませんが、秋の花の少ない時期にチョウやハチの蜜源になっていることも考え、一部をを残しながら刈り取る時期(花期の後)も考えながら作業を進めています。毎年、アサギマダラが蜜を吸いにやってきている植物です。2024年度、今年もニリンソウの群生が現れてきたことは嬉しいことです。

 2022年度、ヨシやオギの湿地や樹林地の周辺にカナムグラが増えて、ヨシの群生を覆い被さるように広がり枯らして、ヤナギの枝まで伸びて覆ってしまっています。キタテハの幼虫の食草でありいつもキタテハを目撃できていることはいいのですが、他の植物への影響を見ていく必要があります。カナムグラの名の由来のように、刈払機で刈り取る作業が大変です。花は、風媒花で花粉が風によって運ばれ花粉症の原因にもなるので、対策が必要です。

 外来種への対策はどうしていけばよいでしょうか。まず。在来種を保全していく生育域をつくり、その中の外来種を一株ずつ根ごと駆除していく等で、オオブタクサやセイタカアワダチソウの拡大を抑えていく対策が必要です。競合種のススキ、オギ、ヨシ、アズマネザサを残すという方法も一つです。また、アメリカイヌホオズキやアメリカセンダングサは1年草であるので、刈払を続けると減少していきます。周囲の在来種の植物を残しながら早めに刈り取っていくことで駆除が可能であると思われます。2023年、田んぼの畦まで在来種のカラムシが点有してきました。カラムシは根が残り刈り取っても芽が出てくる多年草です。
抜き取る作業によって抑えていく必要が出てきました。
 
 外来種は全部駆除しなくてはならないという考えではありません。稲と一緒に古い時代に渡来した、ヒガンバナやジュズダマ
、江戸時代に全国に広がったモウソウチク、帰化植物であっても長い間日本の暮らしに馴染んできた種もあります。最近、入ってきたアレチハナガサは、茎が四角い形で興味深い種ですが、昆虫の蜜源になっている種でもあります。多様な植物があるとそれを餌とする昆虫も多様な種が現れてきます。昆虫は鳥や蛙などの餌となり生き物を育て、植物の種を食べるネズミ、蛙やネズミを餌とする蛇、蛇を餌とする猛禽類へ繋がっていきます。そして、昨年まで沢山池の里山に住んでいて話題になったフクロウやサシバがやってくる豊かな環境をもつ里山ができていきます。水辺や湿地、乾燥した草地、雑木林、マダケやメダケの竹林、照葉樹林などの多様な環境をつくり、様々な種の植物や昆虫、生き物を観察できる里山にして、豊かな生態系を有する里山にしていきたいです。
 
   
       
     
     
     
     
     
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