横須賀市長坂3・5丁目「沢山池の里山」では復田が進んでいます。沢山池に自生しているヤナギ林とヨシ・オギの湿地、谷戸を流れる小川、竹林や湿地、奥の樹林地など、多様な自然環境が保たれています。
神奈川県の絶滅危惧種に指定されているトンボ、サラサヤンマを2020年5月30日に湿地の中で確認しました。サラサヤンマは湿地のヤナギ林の湿地で成虫になるまで1〜3年を過ごします。神奈川県では生息が危ぶまれいる絶滅危惧種のチョウ、コムラサキを2017年7月に撮影できたところです。コムラサキの幼虫はヤナギの葉を食べて育ちます。ヤナギ林と湿地を残しておきたいです。2020年6月に湿地のヨシに珍しいナキイナゴを確認しました。神奈川県では見かけることが少なくなった希少種、イネカメムシ、ハネナガイナゴ、ケラなど、湿地の中にシブイロカヤキリやメダケが食草であるヒサゴクサキリなども見られます。また、自然の中で遊んだり動植物を観察したりしながらいろんな体験ができるところです。
2020年の大きな話題は、ツルギキョウが、復田された田んぼのあぜ道のあちらこちらに出現したことです。環境省絶滅危惧種U類の植物、神奈川県では絶滅危惧TA類(2006年絶滅寸前)に指定され、大楠山周辺でしか見ることのできない希少な植物です。その後、2020年版では神奈川県でも絶滅危惧種U類に引き下げましたが、保全の仕方がよく分かっていない種で年々株の数を減らして絶滅が危惧されています。復田によって土が掘り返され、樹木が伐採され日が当たるようになり、何十年も眠っていた種子が発芽したと考えられます。
2021年春に、ツルギキョウの芽が出てきました。威勢よく育っている株も豪雨の後に枯れてしまったところもあり心配しました。2022年度、12月から1月に草刈りを行い、4月春の芽吹きを持つことでツルギキョウを保護できることが分かってきました。2023年度、草刈りの後、他の場所でも発芽しているところもありましたが、次の年には同じところに発芽はありませんでした。2024年.4月、いつも発芽してしているところが固定化してきました。昨年、途中で枯れたところには発芽がありませんでした。
2022年8月下旬、沖縄に生息するリュウキュウムラサキの雄がやって来て話題になりました。
2023年5月、サラサヤンマの羽化後の抜け殻を目撃しました。生息を確認できたのは初めてです。
2024年1月、南から20年前にやってきたムラサキツバメやオオキンカメムシが越冬していました。
2023年度、環境省と自然保護協会の全国で1000箇所の環境モニタリング実施地(モニ1000)の中に選ばれ、チョウの調査を三浦半島昆虫研究会により5年間続けることになりました。
「調査のために許可を受けているとき以外は、動植物の採集が禁止されています」
横須賀市環境・河川課 掲示より
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